腋臭症(わきが・ワキガ)は遺伝や性ホルモン、毛量、精神的素因が関係していると言われ、脇や耳、乳輪、陰部などにのみ存在するアポクリン腺が原因となって、思春期以降に脇から特異な悪臭を放ちます。
アポクリン腺から分泌される汗には脂質やタンパク質が多く含み、皮膚表面の細菌がこれらを分解することでワキガ独特のにおいが発生します。また、脇にあるもう1つの汗腺(エクリン汗腺)はサラサラで無臭の汗を分泌しますが、揮発性が高く、ワキガのニオイを周囲に運ぶ役目を担います。
一般によく『汗臭い』という言葉を使いますが、腋臭症(わきが)のアポクリン腺汗による『わきクサイ』と全身のエクリン腺汗による『汗クサイ』は異なりますのでご注意ください。これを混同してしまうと腋臭症(わきが)の治療によって汗をゼロにしないと気が済まなくなり、治療後の満足度が低下します。
皮弁法・腋臭症手術(保険診療)
3~5cmの皮膚切開から、皮下を剥離して皮膚を反転し、腋臭症(わきが)の原因となるアポクリン腺を直接目で確認しながら剪刀(ハサミ)を用いて除去していきます。手術後は1週間程度の圧迫固定が必要です。
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腋臭症(わきが・ワキガ)保険適用基準
腋臭症(わきが・ワキガ)の保険適用基準はニオイの有無ではなく強弱で判断します。
①鼻を近づけなくても臭う方
②鼻を近づけて臭いが刺激臭できついと判断した方
を中等度として手術適用とします。
日本人の10%が腋臭症(わきが)
腋臭症(わきが)は病気ではありません。放置しても健康上の問題はありません。東アジアでは臭いがある方が少数派のため、肩身の狭い思いをするのですが、欧米ではにおいをするのが当たり前で、一つの生理現象と認識されています。日本では約10%が腋臭症と言われていますので、もしわきの臭いがお悩みなら一度ご相談ください。
わきが・多汗症 診察の流れ
①お悩みの症状や家族歴、治療歴について問診を取ります。
②ニオイ診断のため、わきにガーゼをはさんでもらいます。
③皮弁法手術は効果が高く実績のある治療であるため、適用基準を満たす方には推奨するワキガ治療の一つですが、色素沈着や傷跡等の副反応の可能性がゼロではありません。傷のできにくい他の方法も選択肢に入れた上で治療法を選んでもらうことが大切であるとの考えから、他のわき汗(わきが・多汗症)治療についても説明致します。
④ガーゼテストにて腋臭症(ワキガ)の程度が中等度以上と医師が判断し、皮弁法手術の希望があれば、採血(術前検査)をして手術日程を決定します。